シプリアン・カツァリス ピアノリサイタルに行ってきました

ゆきねこはピアノが好きなので、当然ピアニストも好きです。
好きなピアニスト、敬愛するピアニストはたくさんいるのですが、その中でも特に敬愛する1人がシプリアン・カツァリスです。

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見るからに変人である。ギリシャ系のフランス人である。
信じられないような難曲を見事に弾きこなすスーパーヴィルトゥオーソと言えばこの人の名前が必ず出てくる。
ニコライ・ペトロフ、ワディム・ルデンコ、レオニド・クズミン、マルカンドレ・アムランなど、鬼神のごときテクニックを持つピアニストは他にもいるが、カツァリスはその筆頭と言ってもいいのではないだろうか。
若い頃はジョルジュ・シフラ国際ピアノコンクールで最優秀賞を受けたりしている。
シフラの編曲作品で有名な「熊蜂の飛行」など、シフラ本人の前で見事に弾いていた。
日本ではNHKで「ショパンを弾く」の講師を担当したことで有名。
ピアノが大好きな人の間での知名度は高いほうだと思う。無名な作品の発掘にも熱心なところが、ゆきねこの心をくすぐる。
カツァリスの凄さはなんと言ってもその技術である。
全盛期の頃などは技術力だけで見れば世界一だったのではないだろうか。(還暦になる今でもほとんど衰えていませんが。)
カツァリスはまさにピアノのために生まれた変人である。ピアノは一日16時間弾くという話も。。
弾きすぎてコンサート中に爪がはがれた。などの伝説もある。
しかしそんな話も納得できるほどのテクニックと正確さ、そして表現力。
ゆきねこは心服しきっているのである。
本当に(もの)凄いピアニストだと思います。
どれくらい凄いかはピアノを弾く人なら演奏を聴いたり見たりすればわかると思うけど、ピアノを弾かない人にはよくわからないかもしれない。
だからこう言っておきます
「サッカーで言うメッシとか、野球で言うイチローと同等くらいには凄い人」
(ただ問題は、ゆきねこがスポーツに全然詳しくないからこの表現が正しいのかどうかわからないこと(^ω^;))
音楽に対する真摯な姿勢も本当に尊敬できる人物です。
この人の演奏を見ていると、ピアノが好きで好きで仕方がなくて、心から音楽を愛しているのがわかります。

カツァリスは親日家で日本によく来日する。
しかしゆきねこは色々事情もあり、今までカツァリスのリサイタルに行けたことはなかった。
「放射能も地震も恐くない。」と言ってくれた親日家のカツァリスは今年(2011年)もやってくる。
10月23日は神戸に来る。これは近い!行ける!ということで早速チケット購入。 ( ^ω^)
前売りで4500円なり。安い!( ^ω^)
マルカンドレ・アムランのリサイタルなども5000円程度だったりと、「ピアノの実力と料金はあまり関係がない」とつくづく思う。
場所は神戸。神戸新聞松方ホールだ。
日本好きなカツァリスは観光を兼ねているのか、けっこう全国色んな場所でリサイタルをする。
神戸ビーフが大好きだそうで、神戸でリサイタルをすることが多い。
ゆきねこハウスからはアクセスしやすい場所。これは行くしかない! ( ^ω^)/

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こちらがパンフレット。一番下に書いてある10月23日、神戸新聞松方ホールってのが今回のリサイタル。
その上2つは浜離宮ホールです。(東京都) カツァリスは浜離宮でもよくリサイタルをやります。

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で、こちらがプログラム。
うーん!なんとピアノマニアの心をくすぐるプログラムだろうか。 ( ̄ー ̄)
今回はリストプログラムということで、リストの作・編曲作品で埋め尽くされている。
何よりも楽しみなのはカツァリス自身の編曲による、リスト・ピアノ協奏曲第2番ピアノ独奏用 である。
「6つのポーランドの歌」はショパンの歌曲をリストがピアノ独奏に編曲したもので、シフラが得意としていたレパートリー。
ハンガリー狂詩曲は2番や6番など無視して3・5・7と持ってくるあたりがカツァリスらしい。
「詩的で宗教的な調べ」の中でゆきねこが最も好きな「孤独の中の神の祝福」も弾いてくれる。  (つω-`。)胸熱だぜ。
愛の夢第3番がなぜか他の選曲から浮いている感じだが、これはおそらくコンサートの主催者側が「有名曲も弾いてください。」とお願いしたのだろうなあ。。と思う。「しょうがねーな。。じゃあ1曲だけ。。」って雰囲気が漂っている。
事前の情報では「ジングシュピールアルミラによるサラバンドとシャコンヌ」も弾くということで楽しみにしていたのだが、当日のプログラムを見るとそちらはなくなっていた。
そのかわりチャルダーシュ・オプスティネが追加。いずれにしてもリスト好きにもピアノマニアにもヨダレが出るプログラムだ。
松方ホールは大ホールではない。客席は700ほど。

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15時開園。すぐにカツァリスが舞台に出てきた。
おおおおお!!( ̄□ ̄;)!!   あの憧れのカツァリスが目の前にいる!
ゆきねこはそれだけで感極まってしまった。
しかし残念ながら座席は右側。右側だとピアニストの手が見えないのです。
うーむ。次回はもっと早くにチケットを取って左側の座席を取るぞ!(´・ω・`)
まずはカツァリスによる「リストへのオマージュ」即興演奏です。
と、始まるやいなやラフマニノフのピアノ協奏曲第1番の主題が聴こえてきました。
「あれww リストじゃない!ラフマニノフへのオマージュかいな!」
などと思っていると、タレガの「アルハンブラの思い出」の旋律が出てきたり、「さくらさくら」が出てきたり。
つまりはなんでもありなカツァリスの気分の即興 であった。
そういえば入り口に「プログラムの一部が変更になりました」と書いてあったっけ。
しかし素晴らしい演奏。技術力・表現力ともに申し分なし。
拍手も鳴り止まぬうちにカツァリスは席に座り、すぐに次の曲を弾き始める。
すぐに座ってすぐに弾き始めるカツァリス。拍手がピタッと止まるのがなんだか面白い。
前半はどの曲も素晴らしかったが、ゆきねこはとくに「孤独の中の神の祝福」に感動しました。泣きそうになった。
カツァリス自身もとても楽しんで弾いていたと思います。
カツァリスはほんとにピアノが好きなのだと弾いている姿を見てわかります。
気分が乗ってくると客席のほうを見て「ニヤリ( ̄ー ̄)」とやる例の癖もやっておりました。

後半は6つのポーランドの歌から。
最初の「乙女の願い」は中間部の細かいパッセージの部分をざっくり省略しておりました。
ちょっとずっこけそうになった。しかし演奏は素晴らしかった。
そして「愛の夢第3番」 これは。。。
技術は完璧ですが、「これほんとは弾きたくないんだよねえ。。」って感じが伝わってきたw
「やはり弾きたくないけど、頼まれてプログラムに入れたんだな。」とゆきねこは確信したのです。
サラっと弾きこなして、あまり「愛」を感じませんでした。やはり弾きたくない曲は弾くもんじゃない。
「早く次の曲弾きたいから、これサッと終わらせよう。」って感じでした。
おまけに立ち上がることもなくそのままピアノ協奏曲第2番へ突入。そうとう嫌だったと思われる。w 笑いそうになった。
次のピアノ協奏曲第2番独奏用編曲は。。。もうアンビリーバブル!!!
人間業とは思えない。驚くほど困難なパッセージを楽々と弾きこなし、観客に向かって「( ̄ー ̄)」するカツァリス。
超高速で連続する3度のパッセージなどもなんなく弾きこなす。
第3楽章などは「え!!オーケストラ後ろにいるの??」と疑いたくなるような大音量と大迫力。
はっきり言って、原曲に負けていません。むしろ勝っているのではないかと思ってしまうほど。
素晴らしいという言葉では言い表せないほど素晴らしかった。
ぜひCDでもリリースしてほしい。(今のところCDでは発売していません。)
ピアノマニア歓喜のプログラム。カツァリス最高!やはり彼は神だった。
ミスタッチと呼べるようなものもなく、CDと同じクオリティで演奏してしまうのだから舌を巻くほかない。。
手が見えなかったこともあって、「ほんとに弾いているのかなww」と冗談を言いたくなるほどでした。
会場は鳴り止まない拍手。アンコールでバッハのチェンバロ協奏曲第5番の第2楽章のピアノ用編曲などを演奏してくれました。

さてリサイタルの感動の余韻に浸っている間もなく、すぐに公開レッスンが始まります。
実は今回のリサイタルは「シプリアン・カツァリス ピアノリサイタル & 公開レッスン」 だったのです。
神戸地元の学生がカツァリスに公開レッスンを受ける。
リサイタルに来た人はそのままレッスンも無料で見ることができました。

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ドビュッシーとベートーヴェン。カツァリスはあまりドビュッシーのイメージはないのですが、2人がドビュッシーを選曲していました。
カツァリスがフランス人だからだろうか。
カツァリスは持ち前の気さくな性格で楽しいレッスンをし、会場では笑いもたくさん起こっていた。
別に私が言ったことに同意できないなら、やらなくてもいいんですよ。」としきりに言っていたのが面白かった。
レッスンを受けた生徒はみなとても上手。特にゆきねこは最初の中学2年生の女の子の演奏に感激しました。
きっと将来良いピアニストになってくれるのではないでしょうか。
公開レッスンが終わる頃はすでに20時すぎ。さすがにちょっとお尻が痛かった。
でもとても楽しい、思い出に残る一日でした。と、カツァリスがサイン会開始!
コンサート会場入り口ではCDの販売もしており、そのCDにサインをもらって帰るのが定番です。
しかしゆきねこは「それだけじゃ面白くない。」と考え、秘蔵のマニアックなCDを持参してサインしてもらおうと思いました。

で、会場入り口近くのテーブルにカツァリスが颯爽と現れ、座る。
ゆきねこ、この時点でなんだかガチガチに緊張してしまった。
ミーハーではないゆきねこは芸能人など街で見ても華麗にスルーするのですが、やはり自分の尊敬する人や憧れの人となると、緊張するものなのですね。 (^ω^;)
カツァリスにCDを差し出す。会場では売っていないCDだけに何か反応はあるのか。
と思ったら即座に反応してくれました!
「Ohhhhhhh !!!!!! モッテル~~~!」 と彼はゆきねこが出したCDを見て大きな声を出しました。
モッテル~ が、日本の「持ってるー!」 なのか、フランス語なのかはよくわかりません。
カツァリスは喜んでくれているようでした。しきりに「Very good choice! Very good choice!」
と繰り返し言っておりました。ゆきねこは「Yes! my choice!」と言ったのを覚えております。

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こちらが持参したアルバム。「シプリアン・カツァリス ボルトキエヴィッチ ピアノ作品集」 です。
ボルトキエヴィッチはロシアの作曲家でラフマニノフなどとほぼ同世代。
メトネルなどがラフマニノフと比較されることがありますが、はっきり言ってメトネルはラフマニノフとはまるで作風が違う。
ラフマニノフに近いのはむしろボルトキエヴィッチだと思います。
親しみやすい旋律と技法を駆使した重厚なピアノ曲はなかなかの傑作ぞろいで、今日ではほとんど無名なのが残念。
たくさんのピアノ曲や3曲のピアノ協奏曲があります。ゆきねこは特にエレジーOp46などが大好きで、よく聴きます。
カツァリスもやはりこの作曲家に惚れこんでいるのか、突如アルバムを出しました。
ゆきねこは飛びついて買ったものです。
予想外のマニアックなCDが出てきたのか、カツァリスの反応は上々。( ^ω^) 
「よし!これを繰り返せばいつか顔を覚えてもらえるぞ。」などとホクホクしたゆきねこでした。

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こちらがいただいたサイン。実にシンプルなもので、なんて書いてあるのかよくわからない。
たぶん c k かな?(Cyprien Katsaris)

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会場で購入した「カツァリス・プレイズリスト」のCDにもサインしていただきました。 ( ^ω^) イヤーウレシイ
握手もしていただきました。カツァリスの手は柔らかくて暖かかった。
ついでに写真も撮らせてもらいました。

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なんとブレてしまいました!! ショック! (つω-`。)
一緒に行った友人曰く、「手が震えていたよ。」とのことです。  (´・ω・`)
たしかに、「あの、、、あのカツァリスが目の前にいる!!そして今握手をしている!!信じられない!」
頭に血が上っていたのを覚えています。
ゆきねこにとっては誰もが知っている世界的スターの○○○○・○○だの、○○○○・○○○などよりもはるかに凄い人。
雲の上の人なのです。そんな人と一言、二言言葉をかわし、サインをもらい握手をしてもらう。
「確かに、、緊張するものだ。」と、今までミーハーを馬鹿にしていたことを反省したのでした。
コンサートの感動の余韻が冷めぬ中、神戸でメシを食って家に帰りました。とても良い思いでの1日となりました。


さて、せっかくなのでカツァリスのおすすめCDをいくつか紹介したいと思います。
まずはこちら。

Beethoven/Liszt: Symphonies 1-9
Teldec
2003-11-17
Beethoven

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カツァリスのテクニック・凄さを知るのにベストな鉄板。
カツァリスのことをよく知らない人はまずはこれを聴けば彼の凄さがわかる。
ベートーヴェンの交響曲全9曲のリストによるピアノ独奏用編曲に、さらにカツァリスが音を追加して演奏したものです。
信じられないほど難しいパッセージを完璧に弾きこなすその演奏は発売当時批評家から「ウソだろ」と疑われたそうです。
なのでカツァリスは実際にライヴで演奏をし、本当に弾いていることを証明しました。
しかし、「本当に弾いているのか?」と疑いたくなるのもわかる。それほど凄い演奏です。
カツァリスの録音の中で、というよりもピアノレコード史上決して無視できない「伝説の」録音と言えるでしょう。
単独で5番や6番などを収録したCDもありますが、全集のほうがお得だと思います。
6枚組みでこの値段ですから、ピアノ好きならまず買って損はありません。



Piano Sonatas 1-3
Sony
1992-10-06
Chopin

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カツァリスはショパンも色々と録音していますが、ゆきねこが特におすすめしたいのはこれ。
カツァリスは曲の中に隠れた内声部を浮き立たせる演奏で有名ですが、それはこのソナタでも光っています。
3番の第4楽章は左手の細かい動きがくっきりと聴こえ、それまで意識したことのないリズムの印象を聴き手に与えてくれる。
2番の第4楽章は、、凄い演奏です。おそらくこの演奏を聴いたら他のどのピアニストの演奏を聴いても物足りなく感じるでしょう。
音1つ1つが自己主張して迫ってくるのです。そして声部の浮き立たせ方が尋常じゃない。
どうしてこんな風に弾けるのか、カツァリスは化け物か!他では決して聴けない演奏です。
さらにこのアルバムで特筆するべきは習作として滅多に弾かれることのないソナタ第1番も収録していることです。
カツァリスによる鮮明で的確、完璧な演奏は、ショパンに対する新たな評価と認識を与えてくれることでしょう。



Concerto No 2 (4 Versions)
Piano 21
2011-01-11
F. Chopin

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こちらは最近出たアルバムで、ショパンのピアノ協奏曲第2番の色々なバージョンが入っています。
すなわち、通常のピアノ協奏曲第2番、室内楽版第2番、ピアノ独奏版第2番、2台のピアノのための編曲 です。
まさにピアノマニアのためのアルバム。編曲物が得意なカツァリスの真骨頂。



ショパン:ワルツ集
ワーナーミュージック・ジャパン
2000-06-21
カツァリス(シプリアン)

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カツァリスは「隠れた内声部を浮き立たせる演奏の達人」と評されますが、その意味がすぐにわかる1枚。
その意味を理解するには有名なワルツ第7番Op64-2の演奏を聴けば一発です。
あら不思議。他のピアニストでは聴こえてこなかった旋律が聴こえてきます。
全く同じ曲、同じ音でも演奏者によっていかに変わるか。そういった部分も楽しめます。
現在は1000円以下で買えて非常にお得。 ( ^ω^)

この他にもおすすめのCDはいろいろとございます。
ピアノ編曲物やマニアックな作品などの録音も多い。興味を持たれた方は色々と聴いてみてください。

長くなりましたが、ゆきねこにとって最も大切なピアニストの1人、カツァリス!素晴らしいコンサートをありがとう!!

※追記
カツァリス編曲によるリストのピアノ協奏曲第2番の独奏版の映像がYoutubeにありました!



2014年浜松でのリサイタルです。
この中でカツァリスは独奏版の協奏曲を華麗に弾いております!
興味のある方はぜひ見てみてください。( ^ω^)

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